初心者から上級者まで幅広く愛される、爽やかでライトなシングルモルトの巨星「グレンフィディック」。
グレンフィディック蒸留所の創業は1887年。
ウィリアム・グラント氏によって、スコットランドにあるフィディック川の河畔に造られました。
ちなみに、グレンフィディックという名前は、スコットランド・ゲール語で、「鹿の谷」という意味を表します。
グレンは「谷」、フィディックは「鹿」というわけですね。
世界中で親しまれているグレンフィディック。
その特徴、味、香りを見てみましょう。
「グレンフィディック 12年」の特徴・味・香り
ストレートで飲んだ際の特徴
香りは、ややアルコール感が目立ち、さっぱりとしていて、若い青りんごを思わせます。
しかし、香りに反して味わいは、アルコールはあまり感じません。
やや粘性があり、ライトな飲み口ながらも、スムースです。
ビターな風味とりんごの蜜のような甘みが程よく広がり、とても飲みやすいです。
ややパンチに欠ける部分がありますが、嫌らしさがないので、さっぱりと飲みたいときにオススメな1杯です。
ロックで飲んだ際の特徴
口当たりはややビターで、後から、りんごの蜜のような甘さが顔を覗かせます。
軽やかな味わいで、余韻はドライ。
全体を通して見ると、まろやかな仕上がりで、味にまとまりがあります。
また、冷やして飲むことにより、味の輪郭がはっきりと感じられ、ジューシーさもあります。
後味のキレが良いので、スッキリとしたロックを楽しみたいときにオススメです。
水割りで飲んだ際の特徴
口当たりはとてもまろやかで、スムースな味わいです。
余韻には、微かなりんごの風味を感じられ、程よく消えていく心地よさがあります。
加水されたことにより、より飲みやすく、癖がありません。
悪く言えば特徴がなく、良く言えば飲みやすいといった印象。
ウイスキーのアルコール感が苦手な人に、オススメな1杯です。
ハイボールで飲んだ際の特徴
炭酸で割ることにより、よりフレッシュな味わいへと変化します。
口当たりは軽やかで、アルコールのツンとくる刺激は一切なく、余韻もさっぱりとしています。
若いりんごの青々しさが感じられ、草原のような緑を思わせるフレッシュな味わいでありつつも、青臭さはありません。
爽やかでいて、キレのあるハイボールが飲みたい方にオススメな1杯です。
「グレンフィディック 12年」の味わいまとめ
若いりんごや洋ナシのような香りと、爽やかでライトな飲み心地が印象的です。
重めのウイスキーが好きな人には、やや物足りないかもしれませんが、爽やかなウイスキーが好きな人には、とことんハマる1本。
とても飲みやすいので、ウイスキー初心者の人が初めて飲む、入門用のウイスキーとしてもオススメです。
スペイサイドモルトの良い点を凝縮したようなウイスキーで、飲み飽きることなく楽しむことができます。
- 原産国:イギリス
- アルコール度数:40度
- 価格:約3,000円/700ml(2021年5月現在)
- おすすめの飲み方:ストレート、ロック、ハイボール
「グレンフィディック蒸留所」とは
スコットランドの北部、ハイランド地方の東側に位置するスペイサイド。
その中でもウイスキー名産地であるダフタウンに、「グレンフィディック蒸留所」はあります。
スコットランドの主なウイスキー生産地については、下の画像を参考にしてみてくださいね。
グレフィディックが位置するのは、ピンク色の部分です。
スペイサイドで造られるウイスキーの特徴は、飲みやすくてフルーティーであるという点です。
また、草原のような青々しい香りのウイスキーが多く、華やかな印象があります。
これらの特徴の良いところを凝縮したような仕上がりのウイスキーが、グレンフィディックです。
創業は1887年。
ダフタウンの仕立て屋の息子ウィリアム・グラント氏が、20年勤めたモートラック蒸留所を辞め、フィディック川の河畔にグレンフィディック蒸留所を造りました。
当初は資金繰りが厳しく、備品は中古品で揃えられ、家族総出で建てた手作りの蒸留所だったそうです。
グレンフィディック蒸留所のポットスチルが小型で、さまざまな形なのは、創業時に中古品を買い集めたから。
今では新しいポットスチルに新調されていますが、当時と同じ大きさや形を守り続けています。
下の写真は、実際にグレンフィディック蒸留所で使われているポットスチル。
さらに時は進み、1963年。
ブレンデッドウイスキーの原酒に使われるだけだったシングルモルトを、グレンフィディック蒸留所が、業界で初めて市場に投入しました。
世間からは「無謀な行為」と批判を受けましたが、その爽やかでいてライトな飲み心地が好評を博しました。
今では、世界で最も飲まれているシングルモルトのひとつにまで成長。
創業から1世紀以上経った現在も、家族経営によって、伝統的な製法と味が守られています。
「グレンフィディック蒸留所」の豆知識
グレンフィディックの製法は、厳選された大麦を粉砕した後、仕込み水を使用し発酵させるという、伝統的な手法をとっています。
この際に使用をされる仕込み水は、恵まれた水質をもつ「ロビー・ビューの泉」の湧き水です。
熟成は主にスパニッシュオーク樽とアメリカンオーク樽で行われ、12年以上(グレンフィディック12年の場合)熟成されます。
また、グレンフィディック蒸留所には、ウイスキーの品質を管理する「マスターディスティラー」という蒸溜責任者が常駐しています。
マスターディスティラーが常にウイスキーを監視することにより、味の均一化が保たれているのです。
そして、「モルトマスター」と呼ばれるブレンダーの最高責任者が、熟成期間中に生じてしまった味のばらつきを、原酒を混ぜ合わせることによって調整し、グレンフィディックが完成します。
ちなみに、「スチルマン」と呼ばれる蒸留職人も常駐していて、変形しやすい銅製のポットスチルを徹底管理しているそうです。
キャップ明けた瞬間に、青りんごや洋ナシの香りが立ち上るグレンフィディック。
その瞬間に幸せを感じる人も多いと思います。
そして、クリーンでいて爽やかでライトな味わい。
世界に愛されるグレンフィディックを、ぜひご体感ください。
- 原産国:イギリス
- アルコール度数:40度
- 価格:約3,000円/700ml(2021年5月現在)
- おすすめの飲み方:ストレート、ロック、ハイボール